移民を受け入れる賢さが必要になる時代

移民に対する不満が、世界中で湧きおこっています。日本も例外ではなく、ただでさえ鎖国同然のこの国が、ますます外国人に対して厳しくなっていると感じます。

移民を受け入れなくては先がない

ドイツは、移民を受け入れなくては2011年に人口が減少したはずですが、2011年~2015年の間に人口は1.6%増えました。2014年から2015年にかけ、移民流入は100万人に急上昇しましたが、生産年齢人口と退職者比率を維持するには、2030年まで、毎年150万人を受け入れないと減少に転じます。

日本も、労働人口減少を食い止め、今の生活水準を国民が維持したいのであれば、移民を年間50万人から100万人は受け入れなくてはいけません。もちろん女性の就労率の増加や、定年の引き上げなどもすべてやる必要はありますが、移民だけでもこれだけの努力が必要です。

ちなみに出生率の増加政策というのは、世界中でことごとく失敗したり、予期せぬ弊害を生んだり、簡単には成功しません。さらに、効果が出るまでに15年以上かかり、現実的には厳しいです。

移民受け入れに対する恐怖と誤解

移民受け入れに最も積極的なのは、米国、カナダ、ドイツ、オーストラリアなどでした。これ等の国では、反移民運動が激しくなっています。先日もオーストラリア出身の男が、ニュージーランドでイスラム教徒を無差別殺人しています。ドイツも急激な移民増加により反発が強まり国家が分断されています。

しかし、移民が奪うとされる仕事は、地元の人間はまったくやろうとしないものです。移民が経済成長のけん引役になり、労働人口減少を穴埋めすることで、国は成長を底上げし、社会保障などを長期的に運用しやすくなります。

ブルーカラー達の社会保障や仕事も、そう言う経済成長が無ければ維持できなくなるのですが、それをブルーカラー達が一番理解していません。

移民の頭脳流入の現状

移民は地元の人がやらない仕事だけをやるわけではないです。むしろ意図的に増やすべき移民は、頭脳が伴っている移民です。つまり地元の人がやりたくてもやれない仕事を、移民はたくさんやることができるわけです。

オーストラリアでは、総人口に占める移民の割合は、30%もあります。しかし大卒に占める比率は、脅威の40%です。つまり移民のほうが頭が良いわけです。高校入試においても、移民の子のほうが頭が良いらしいです。(米国や英国ではやや下回る)

日本はもっとオーストラリアを見習うべきですね。

このあたりの事情は、国によってもかなり違い、日本や米国では比率が同じ、ドイツなどでは大卒資格者は移民のほうが少なく、地元の子より移民の子のほうが成績が悪い傾向があります。スウェーデンやフランス、スイスなども、成績格差が歴然で、貧困層拡大の懸念となっています。

米国ベンチャー企業に占める割合

しかしそれでも、本来、移民受け入れは、プラスはあってもマイナスにはならないと分析されています。(世界銀行のオズデンによる調査)むしろそれに対し表面的な過剰反応のほうがよほどその国にとって害をもたらします。

移民がどれほどの恩恵をもたらすのか、ハッキリとわかる例をあげます。

●米国の総人口に占める移民の割合
13%

●ベンチャー企業経営者に占める割合
25%

●シリコンバレーで働く人の割合
35%

●2013年の米国ハイテク企業の上位25社に占める移民第2世代までの割合
60%

移民やその子供の創業者たち

●Apple
スティーブ・ジョブス シリア系移民の第2世代

●Google
セルゲイ・ブリン ロシア系移民の第1世代
サンダー・ピチャイ インド系移民の第1世代

●オラクル
ラリー・エリソン ロシア系移民の第2世代

●Amazon
ジェフ・ベゾス キューバ系移民の第2世代
(母の再婚相手が移民だったわけですが、あの実の父じゃベゾスの開花はむりでしょ)

●シマンテック
コンスタンティン・ギューリッケ?? 旧東ドイツ??
(だれこれ?)

●eBay
ピエール・オミダイア フランス

●EMC
ロジャー・マリーノ イタリア

移民の奪い合いは今後加速する

世界の頭脳は移民が必要であることを理解しています。

欧州と米国で反移民運動が激しくなる前は、実際に取り合っており、国連によれば移民による人口増加を表明していた国は、2010年の10か国から2013年の22か国へ、2倍に増えました。

移民自体が増えているようにも見えますが、2012年と、50年前とを比べた場合、移民の比率は世界人口の3%で同じです。2005年から2010年の移民の数は1640万人に上るものの、2010年から2015年では、500万人になっています。(シリアやイラク問題など、一時的に増えたりはします)

しかし、このままずっと、3%とはいきません。
移民は減少していきます。

新興国で労働人口が頭打ちになることから、移民の数は先進国にとって今後たりなくなります。トランプ大統領がメキシコ国境に壁なんか作らなくても、メキシコ自体の労働人口がいつ減少に転じるかわからない状況なので、わざわざ米国に行かなくなります。

日本ももう少し賢くなって、成長のために何が必要なのか、そして成長しなくては生活水準を下げざるを得ないということを、もっと多くの人が理解すべきです。

参考文献
「シャルマの未来予測」ルチル・シャルマ
↑世界最強ストラテジストの彼もインド出身です